1、自分の勘を信じる。
アッシュは真面目な顔でナタリアの肩に手を置き、諭すように言った。
「悪いがナタリア、男に二言はねえ。俺は俺の勘を信じようと思う」
「アッシュ……」
ナタリアは真剣な表情のアッシュを見て、何か感じてくれたらしい。どこか諦めたような表情で笑って、緩く首を横に振った。
「仕方がありませんわね……あなたがそこまで言うのなら……」
「ナタリア……」
「と言うとでも思っているのですか!」
ナタリアの体が目の前から消えた。驚いて辺りを見回せば、ナタリアは箒の上に奇跡的にも立ちながらはるか頭上に飛び上がっていた。その手には……どうやら彼女の武器でもある弓が握られているようだ。
「ひどいですわアッシュ、わたくしの言葉を信じてくださらないなんてっ」
「い、いや、だからな、ナタリア」
「しかしあなたの言い分も分かります……だから、ここから先へと通りたくばわたくしを倒してから行きなさい!」
ナタリアは武器を構えた。本気だ。ナタリアはいつだって本気なのだ。対してこっちは武器を持たない。呪文を唱えれば杖が現れるらしいのだが、その呪文がとんでもないものなので未だにアッシュは唱えられない。つまり、勝ち目は無い。
アッシュはどこか絶望的な気持ちで考えた。
1、前言撤回、ナタリアの言葉を信じる。
2、自分を信じて、ナタリアと戦う。