2、何で俺が。やっぱり行かねえ。



「冗談じゃねえ、他に代役は溢れかえるほどいるだろうが。俺は行かないと言ったら行かないんだ!」


そう吐き捨てれば、手の中のルークが若干涙目になったような気がして内心アッシュはものすごく動揺した。何だどうしてこんなことで涙目になるのだ。俺のレプリカはそこまで泣き虫だというのか。
しかし何とか動揺を外に出さないように表情に力を入れることに成功した。何でもないような顔でプルプル震えるルークを眺める。


「俺はっサンタさんを助けなきゃならない使命があるんだっ!だから絶対に助けに行かなきゃならないんだよっ」


一体どこからそんな使命を貰ってきたのかは知らないが、涙を堪えながらルークはぎゅうっと拳に力を入れた。尚もアッシュを見つめるその翡翠の瞳には、ごく僅かな躊躇いと羞恥、そして大きな決意に輝いていた。


「それで……俺のパートナーは、アッシュがいいんだ。アッシュじゃなきゃ嫌だ。だから……」


最後はごにょごにょと小さな声で聞き取れなかったが、ルークが何を言おうとしているのかは理解することが出来た。頬に熱が集まるのを感じて、アッシュは熱を追い出すように軽く頭を振った。いきなりとんでもない事を言い出す使い魔(トナカイコスチューム)である。
じっとアッシュからの返答を待つルークに、ひとつため息をついて見せたアッシュの選択は。


1、仕方がねえ、行ってやる

2、面倒くせえ。行かないって言ってるだろ。