1、ギンジだった。



「おやっ魔法使いさん方いらっしゃい!おいらに何か用ですか?」
「実は、箒が壊れてしまったらしい。直せるか?」


アルビオール号を差し出せば、ギンジは興味津々といった表情で受け取り、じっくりと眺め回した。その瞳に灯る鋭い光、どうやら確かに彼は箒職人のようだ。しばらく箒を見つめたギンジは、顔を上げて笑顔でアッシュを見た。


「随分と使い込まれてますね。ちょっと難しそうだけど、頑張ってみますよ」
「ああ、頼む」
「出来上がるまで中で待ってて下さい。外は寒いから」


快く引き受けてくれたギンジは2人を部屋の中へと通して、さっそく箒の修理を始めた。アッシュはソファへと腰掛け、ルークはテーブルの上に座り、出してもらった温かいお茶をすすりながら出来上がりを待つ。
湯飲みが大きくて飲めないだの、お茶が熱すぎて飲めないだの我侭を言うルークの額にデコピンをしながら待っていたアッシュの元へ、しばらくしてから少々困った顔でギンジが作業場から出てきた。その表情に一抹の不安がよぎる。


「おい、どうした。もしかして直せないのか」
「あ、いや、直そうと思ったら直せるんですけど、予想以上に時間が掛かりそうなんですよ」
「どのぐらいだ」
「うーん3日ぐらいはかかるでしょうね」
「えーっ!それじゃ間に合わねえよ!クリスマスイブである今日中にサンタさんを助け出さなきゃならねえのに!」


頭をかくギンジにルークが抗議の声を上げた。確かに、今日サンタを助け出さなきゃ意味がない。アッシュは腕を組んで考え込んだ。



1、死ぬ気で今日中までに頑張れ。ギンジを急がせる。

2、代わりの箒が無いか尋ねる。