やだ!やだ!やだ!!







ここは、アニメの世界。……いや、マジで。そう、君たちから見て画面の中の世界。俺はそこの住人だった。
知ってる?おそ松さん。今そっちで人気なんだって?俺、そのアニメの主人公なんだぜ?おそ松ってーの、あ、知ってた?そうそう、松野家長男松野おそ松でーす!よろしく!
俺達六つ子がそっちの世界じゃモテモテだってホント?羨ましいわー!こっちの世界じゃ俺らからっきしだし。なーんで画面越えて向こう側に行けないんだろうね。俺も今すぐ三次元になって可愛い女の子たちにチヤホヤされたーい!
……なんて、言ってる場合じゃなかった。俺の頭はどうにかして現実逃避してしまおうと必死に働いている真っ最中だ。諦めろよ、俺。いくら脳みその中で触れ合う事の出来ない別次元の人間に語りかけたって、俺が目の当たりにしている現実からは逃れられないんだから。
今俺の目の前に横たわるコレだけが、俺にとっての現実でしかないんだから。

「やだやだやだぁ〜〜〜〜!!!」

そう、この全力で駄々をこねる成人男性のいる光景こそが。俺の現実だ。
……地獄かよ。

「ううっう゛うぅ〜〜〜!!いやだ、やだああぁ〜〜〜〜!」

君ちょっと想像してみ?大の大人が、わあわあ大声でわめきながら床に転がって、手足をじたばたと振り回しながらただひたすらもがいている姿を。ね?今すぐ逃げ出したくなるでしょ?俺が脳内で別の世界に思いを馳せるのも仕方なくない?道端でそんなものが落ちてたら関わり合いたくなくて全力で逃げるでしょ?でも残念、こいつ、俺の弟。他人だったら容赦なくどこにでも逃げてたのにね。この顔のそっくり加減で赤の他人でも俺達が兄弟だって一瞬で分かっちゃうレベル。逃げらんないよね。ちくしょう。
俺の事知ってるならこいつの事も知ってるよね。松野カラ松っていうんだけど。そう。嘘じゃないよ。いつもの青パーカー着てるでしょ。え、見えない?それでもこいつは松野家次男松野カラ松以外の何者でもないんだよねえ。こいつが成人した大人の男っていうのも、そんな奴が俺の目の前で躊躇いも無く駄々をこねてるのも、全部全部現実なんだよねえ。
悪夢かな?

「カラ松ぅ」
「っやだやだあぁ〜〜〜!!」

俺が声を掛けたらほんの一瞬だけ静止して、すぐに駄々っ子を再開させる。ったく、しょうがない奴だねえ。
カラ松が泣き虫なのは割と周知の事実だと思うけど、何が何でも受け入れたくないものがあった時はこうやって臆面も無く駄々をこねだす事を知っているのは、多分俺だけだろう。六つ子の次男として生まれたかっこつけのこいつは、唯一の兄である俺の前でだけこうやって甘えたな内面をさらけ出すのだ。……うん、それが嫌な訳じゃないんだよね。そうやって甘えられんの別に嫌いじゃないし。俺お兄ちゃんだし。でもさ、ものには限度ってものがあるでしょ。
カラ松、お前知ってる?普通こうやって駄々こねられるの、せいぜい小学生までぐらいだからね?小学生でも許されないときあるからね?幼稚園児かな、うん幼児だったら許せる。幼児でようやく許せるレベルの事を、20歳越えたお前がしてるんだからね?分かる?いや分かってたら今こんな事してないよなー知ってるー!
……はあ。

「いい加減にしろよぉカラ松。いくらここでお前が駄々こねたって、もう決まってる事が変わる訳ないんだからな」
「やだやだやだやだーーー!!おれぇ、こんなのいやだぁ〜〜!」

馬鹿力が手や足で床を加減無く叩くから何だか足の裏から地響きがする。とんでもないパワフルな駄々っ子に呆れていた俺に、カラ松はぐずぐずの涙声で不満を訴えた。

「ぜったい!ぜっっったい、俺は家なんて出ないーーーっ!」
「いや、無理なんだって。次のお話で、俺以外の兄弟は皆家を出る事になってんの。もちろんお前も。これ決定事項だから」
「やだああぁぁぁぁぁ!!!」

俺達は言った通りアニメの世界の住人。脚本通りに動かなければならない義務がある。が、カラ松はどうやら次の話の内容が不満で仕方ないらしい。お前そんな高い声出せたのね。
やれやれどっこいしょ、と俺が屈んで膝を床につければ、途端にカラ松が体を起こしてこちらへと飛びついて来た。膝に顔を埋めて腕を背中に回してぎゅっと抱きしめてくる。ちょっと苦しいけど、ま、じたばた見苦しく暴れられるよりはマシかな。ぐすんぐすんとぐずる頭を宥めるためにぽんぽん撫でてやる。

「お前、そんなに家出るのが嫌なの?」
「うぅっ……当たり前だっ……約束しただろっ……!」
「約束?」
「一生、実家から離れないって……言ったっ……!」
「あ?あー……ああ、そういやそんな事言ってたねお前。でもそれ約束じゃなくね?歌の中で勝手に宣言してただけだよね?え、約束って誰と?もしかして俺と?覚えがないんだけど?」

俺が尋ねても、カラ松はいやいやと首を振るだけで答えなかった。マジで何歳だよ。仕方なく俺が肩を叩けば、のろのろと俺を見上げてくる情けない顔。おっ前さあ、次の話めちゃくちゃかっこいい予定のはずなのに、今からそんな顔しててどーすんの?
目前に控えた最終回、の前の話で、超珍しく真面目な話が来るらしい。六つ子でニートをしていた俺達が、あ、正確に言うと俺以外の五人が実家を出て独り立ちするって内容。最初にそれ知った時はさすがに寂しいなって思ったけど、二人きりで顔を合わせた途端この弟が盛大に駄々をこねだしたもんだから、そういうセンチメンタルな気分はどこかに吹っ飛んだよね。
あー、カラ松、俺の腹に顔押し付けるのはいいけど、ぐりぐりすんのはやめてくすぐったい。

「いやだ……おそ松を一人残して家を出るなんて……そんなの、寂しすぎる……可哀想だ……」
「えっ……」

鼻声でしゃくり上げながらぼそぼそと訴えるカラ松の言葉を聞いて、不覚にも俺は頭を撫でていた手を止めてしまっていた。え、もしかして、こいつがここまで駄々こねてるのって、俺のため?俺が一人で実家に残されるのが可哀想だからってあんなに嫌々言ってたの?
え、え、ええーっ、何それ照れるんだけどー!え、カラ松めっちゃイイ奴じゃんー!何だよもー!嬉しさで頭をわしゃわしゃ両手で撫でてやれば、カラ松の泣き声も収まってきた。よーしよーし、少しは落ち着いてきたな。

「俺のために泣いてくれてんのかーありがとなカラ松ぅー!でも俺は大丈夫だから。お前がこうやって俺の事思ってくれてんの分かってるからなぁ」
「ううぅおそ松うぅぅぅ」
「はいはい、よしよし」

頭を抱えてよしよし撫でてやれば、カラ松はさらに強くしがみついてくる。ははは、愛いやつ愛いやつ。同じ歳だけど、俺やっぱ長男だからかなあ、こうやって弟に縋り付かれると何だかたまらない気持ちになるんだよな。庇護欲、ってーの?抱き締めてよしよしして、何でも言う事聞いてあげたくなっちゃうっていうか。それは弟が俺の事を兄として慕ってくれてこそなんだけども。
あー、こうしてると俺まで嫌になって来るじゃん。いくら脚本上仕方がないとしても、一人になるのは嫌だなあ。や、アニメが終わるまでの辛抱なんだけどね?そう考えるとあと一週間と少しだけなんだけどね?その後はもう俺達も自由なんだけどさ、嫌なもんは嫌じゃん?だからって駄々はこねないけど。
俺の腹に思う存分顔を押し付けて涙や鼻水でパーカーを汚して下さった次男君は、ようやく落ち着いた顔で少しだけ体を離した。俺の顔を覗き込むように見つめて何かを訴えてくる。薄く開いた唇が、次にどんな言葉を放つか、俺は知っていた。

「おそ松……頼む、抱き締めさせてくれ」
「はいはい分かってるよ。どうぞ」

俺が腕を広げれば、カラ松は改めて俺を正面からぎゅうと抱きしめてきた。さっきまで散々人の腹にしがみついてたくせにな。律儀にお伺いを立ててから嬉しそうにくっついてきたカラ松は、駄々をこねた後はいつもこうやって俺にお願いしてくる。いつもの流れだったら、すぐにあともう一回。

「ぐすっ……頭も撫でていいか」
「いいよぉ」

ほらね。ぐすぐす鼻を鳴らしながら俺の頭を撫でてくるカラ松の手は、強く抱き締めてくる腕と比べたら儚いぐらいこわごわと柔らかい。こいつこうやってる時、いつも何考えてんだろうね。
な?こいつ、変だろ?普通こういう時って、抱き締めて、とか、頭撫でて、とか頼んでくる所じゃない?なんで逆なんだろうなあ。まあそっちは俺が頼まれる前にやってやってるからかもしれないけど。いや、泣いてる弟が目の前にいたら、普通そうするだろ?お兄ちゃん的常識じゃない?
まっこんな可愛らしいお願いだったらいくらでも叶えてやるよ。それでこいつの気が済むなら安いもんだ。な、カラ松。

「……少しは落ち着いたか?」
「ああ……」
「そ。なら良かった。そんじゃ、ぱっと台本確認しようぜ。今回俺とお前の重要な場面があるしさ」

そうそう、そのために俺はカラ松と対面していたはずなんだよ。いつの間にか抱き締め合うような状況になってたけど。ぽんぽんと背中を叩いてあやしてやれば、カラ松はものすごく仕方なさそうに頷いた。良い子良い子。またへそを曲げられる前に、さっさと終わらせるか。

「ほら、台本持って。とりあえず話の展開を確認するからなー」
「分かった」

話の本筋が変わらなければある程度の自由は許されてるけどさ、なんてったって俺達アニメの中のキャラだし。大幅に逸れちゃいけないからこうやってチェックは欠かせないんだ、これが。意外と真面目だろ?まー主人公だしね、俺!偉いでしょ!
今回は、えっと24話だっけ。Aパートはいいんだよ、トト子ちゃんの可愛さ満点の話で俺たちは穴掘って骨になっときゃいいんだから。問題はBパート、カラ松が駄々っ子大人と化したこれだ。カラ松を刺激しないように、さっと行こう、さっと。

「えーと、俺とお前の場面はねえ、まず俺が十四松にキレて蹴りを入れて……」
「え、やだ」

いきなりやだじゃねえよこいつ。

「……何がやなの」
「おそ松はそんな事しない」
「いやいや、お前どんだけ俺の事神聖化してんの。俺だって人間よ?特にほら、こうやってイラついてたりすると八つ当たりだってするかもしんないじゃん。十四松には悪い事するけどさ。つーか十四松には先に詫び入れといたからお前が心配する事は何もないの。分かった?」
「………」

懇々と俺が説明してやると、カラ松は納得してませんって顔をしながらそれでも頷いた。ったく、心配性め。お前の出番はこの後だっての。

「んで、ここにすかさずカラ松が止めに入る訳よ。ここお前の見せ場だかんね。振り返る俺の顔をお前が殴って、」
「殴る?!」

突然カラ松が、この世の終わりのような顔をしながら叫んだ。ちょ、なになに?いきなり肩掴んでこないでびっくりするじゃん。

「俺が、おそ松を、殴る?!」
「そ、そうだよ。ほら、ここに書いてあるし」
「いやだっ!!」

カラ松は全力で拒否してきた。えーっ何で?長男様を堂々と殴れる機会なんて、なかなかないよー?

「出来る訳無い!」
「いや出来るってカラ松。お前なら出来る。もちろんある程度手加減はしてほしいけどさ」
「いやだいやだ、殴りたくなんてない……!この、この頬に向かって拳を振り上げるなんて……!この柔らかくて温かい、こんなに手触りの良いもちもちの頬に……!」

俺の顔に両手を添えたカラ松が、泣きそうな顔でさわさわと頬を撫でてくる。俺はカラ松の様子にハラハラして仕方がなかった。だってこいつの今の様子、いつまた駄々っ子が再開するか分からないギリギリの状態だったんだもん。何とか宥めすかさなければと、俺は必死だった。

「か、カラ松?落ち着……」
「殴るぐらいなら……殴るぐらいなら!俺はキスがしたい!」
「……えっ?」
「おそ松、頬にキスさせてくれ」

いつもの、抱き締めさせてくれとか、頭撫でさせてくれとか、そうやって言う時と同じ声色でカラ松が頼み込んできた。ど、どうしてそうなった?カラ松の頭の中で何がどうなった?ま、まあ減るもんじゃないし、ほっぺにちゅーぐらいなら別にいいけどさ……駄々こねられるぐらいならこれぐらい。
俺が頷くと、ぱっと笑顔になったカラ松がさっそく俺の頬に唇を押し付けてきた。うお、予想以上に柔らかい感触。この感想は、カラ松も同じだったらしい。

「……柔らかい」

ほう、と満足げに溜息を吐きながらそうやって呟いたカラ松は、そのままちゅっちゅっと何度も何度も俺のほっぺにキスをする。ええーっ連続?俺そんなに何回も許可した覚えないんですけどぉ。しかもなんか、だんだん勢いがエスカレートしてない?

「っはぁ……おそ松、ほっぺた柔らかいな。舐めたい」
「へ、はあ?!舐めっ?!」
「頼む、お願いだ、兄さん……」

くっ!!こういう時兄さんとか呼ぶの反則だろ!俺がそうやって弟に切実に頼まれんのに弱いって知ってるくせに!カラ松の奴ずるい!いいよもう!ちゅーまで許したら舐められるのもおんなじじゃね?!減るもんじゃねえしな!もってけ泥棒!

「……いいけど、ちょっとだけだぞ、ちょっとだけ」
「!ありがとう!大丈夫、優しくするから」
「優しくって、おま……ヒエッ!」

うひゃあ、くすぐったい!あれ、ちょっとこれ、想像してた感触よりだいぶ刺激的だね?!もっとこう、子犬に舐められたような微笑ましい感触かと思ってた!このこれは、そういう生易しいもんじゃなくって、もっとこう……

「あ、ちょ、カラ松、待って……!」
「………」
「む、無言?!無言でひたすら舐めないでぇ、あっ、ひ、やめ、」
「……………」
「か、カラ松?からま、ふぁっ?!え、そ、そんなとこ、触っていいとは言ってな、ひっ」
「…………………」
「やぁ、あ……んっ…………」


「ってちょっと待て待て待てえええええ!!!そこの盛ったサイコパス止まれええええ!!!!」


はあはあはあ。
あれ、俺どうしてたんだっけ。カラ松にほっぺた舐められてそれから……何だか無我夢中で良く覚えてない。気付けば俺は何故か息も絶え絶えでへたり込んでて、そんな俺の目の前には仁王立ちしたチョロ松が背中を見せていて、その向こう側には頭にたんこぶ作ったカラ松が正座で座らされていた。
何この状況。

「で、何か言う事は?」
「俺は悪くない。兄貴が殴れなんて言うから……俺は唯一の大事な兄を殴るなんて出来ない……」
「そこじゃねえよ!実の兄にセクハラかました事を問い質してんだよこっちは!いくらおそ松兄さんが馬鹿で鈍感で何でも許してくれる兄モードだったとしてもやっていい事と悪い事があんだろうが!」

チョロ松がパシーンパシーンとハリセンを振り回しながらカラ松を何故だか問い詰めている。つーか今俺悪口言われてなかった?何で?俺がチョロ松に文句を言おうとしたら、その前にギロリと振り返って睨み付けられてしまった。な、なんでそんなキレてんの?

「お前も!カラ松あんまり甘やかすなよ!」
「え、ええーっ……だって、俺カラ松の唯一のお兄ちゃんだしさあ、珍しく甘えられると叶えてやりたくなるっていうか」
「あーもう!お前がそんなだからつけあがるんだって!少しは突き放してやれよ!危機感持て!」

チョロ松が俺とカラ松を交互に睨み付けながら捲くし立てる。そんなこと言われたって……お前はカラ松の駄々っ子姿を見てないからそんな事言えるんだ。だからって見せる訳にはいかないけども。そもそもカラ松が弟の前じゃ絶対あの姿見せないし。あんな駄々こねる姿見たら突き放すなんて出来ないし。困ったなあ。
悩む俺とあんまり反省してなさそうなカラ松が視線を逸らしていれば、痺れを切らしたチョロ松が深い溜息を吐いた。何で駆けつけてくれたのかよく分かんねえけど、なんだかごめんな、チョロ松。

「ああ、なんだか疲れた……とりあえず二人とも行くぞ。次の話に間に合わなくなる」
「!お、俺は行かないぞ!家も出ないし、おそ松も殴らない!そんな事、出来る訳がないっ!」

カラ松が激しく首を横に振る。ああ、やっぱさすがにここで床に転がってじたばたし始めたりはしないか。チョロ松がいるから。ホッと息を吐く俺とは対照的に、チョロ松がムッと顔をしかめる。

「そんな訳には行かないだろ!俺だって本当は嫌な所を我慢してるんだから、お前だけ逃げようったってそうはいかないんだからな!こっちは一番最初だぞ、最初!最初に家出る役!」
「俺なんて殴るんだぞ!兄貴を!いやだっあのすべすべもちもちほっぺたに傷なんてつけたくないっ」
「言い方が気持ち悪いんだよ!……いや、ちょ、だからって、大の大人がこれぐらいで泣くなよ……」

突っ伏して号泣し始めるカラ松の姿にチョロ松がおろおろと言葉を失っている。そんなにお兄ちゃんを殴るのは嫌か、カラ松。俺だって殴られる趣味はないけどさ。でもこの場面、次男としてのかっこよさが前面に出てて良いと思うんだけどなあ。
ほんと、仕方のない弟だ。このままじゃアニメ始まんないし、俺が一肌脱いでやるか。

「カラ松ー、いい加減覚悟決めろよ。ちょっと頑張れば俺達自由なんだからさあ。お前がちゃーんと今回台本通りに頑張って動いてくれれば、俺が何でもお願い聞いてやるよ」
「何でも?今何でもって言ったよな?」

さっきまでおいおい泣いてたはずのカラ松がパッと顔を上げてきた。何そのキラキラ輝く瞳。今の今まで本当に泣いてたんだよね?やる気出してくれたらそれでいいんだけど。頷く俺の隣で、何故かチョロ松が慌てだしている。

「いや、おそ松兄さん?!それは駄目だって!こいつ何をお願いするかわかったもんじゃないよ?!」
「へーきへーき、なんたって俺、長男だよ?弟のお願いぐらいちょちょいっと叶えられるって。ま、もちろん無理なもんは無理って正直に断るけど」
「そ、そうだよね……うん、自衛してくれるならそれでいいんだよ」
「ジエイ?よく分かんねえけど、叶えられるか叶えられないかはお願いされた時の気分によっても変わるから、そこんとこよろしく!」

自分でもいい加減な事言ってるとは思うけど、カラ松は深く考え込み始めた。今の俺の話、そんなに難しかった?口元に手を当てて、どこか虚空を見つめながら、ブツブツ呟いている。

「……つまり、おそ松をその気にさせれば何でもやってくれる、と。そういう事だな」
「ん?」
「分かった。任せてくれブラザー……俺は必ず、今回のアニメを成功させて、なおかつおそ松の事もあの手この手を尽くしてその気にさせてやるからな!」
「その気ってどの気だよおおおお?!」

きょとんと瞬く俺の代わりにチョロ松が積極的にツッコんでくれた。さすがチョロ松だな。
とにかくこれでカラ松もやる気を出してくれた訳だ。よしよし、一体どんなお願いを考えているのかは分からないけど、これが終わったらお望み通り、甘やかしてあげるとしますかね。
俺にだけ駄々をこねる姿を見せてくれるいじらしい弟を、何だかんだ俺は気に入ってしまっているのだ。

さーて、君!24話、楽しみにしててくれよな!






16/03/24



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