あとがき


まずは。ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
ただ、ショタクロリン最強可愛すぎるという思いだけで書きはじめ たものでしたが、ここまでお話が伸びることになるとは自分でも思っておらず……!おまけに、pixivで最初に一話を上げた当時は沢山の方に読んで頂けまして……正直ここまで読んで頂けるとも思っていなくて、軽くビビった事を覚えています。今もビビっています。おそらく期待していて頂けたであろうラストを私は書けただろうかと、めちゃくちゃビクビクしていますが……書きはじめた時に予定していた通りに一応、書き上げることが出来ました。
このお話で少しでも、クロリンの幸せを求める皆様のお心をあたためる事が出来ていれば幸いです。

以下、本当にどうでもいい話を羅列しておるだけです。
あるいはお話の余韻をぶち壊す内容にもなっておりますのでお気を付け下さい。



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◎このお話を考えた際、これだけは書きたいと思った動機というのが

1、ショタクロリンのほのぼの
2、オズボーン氏がもし本編よりも子煩悩だったら

でした。
そう!!!この「せんのひかり」というお話は!

「もしもオズボーン氏が本編より子供好きで、テオさんに預けたリィン君の事もめっちゃ気にしてるし、間接的に自分が孤児としてしまったクロウをめっちゃ気にして引き取ってユミルに送ったりしたら」

という前提から始まったお話だったのです!
私は今でもオズボーン氏の心の奥底にはリィン君に対しての愛情が一欠けらでも残っている、と信じておりますので、こう、夢を見たくなって書いてしまっていました。この前提があったからこそ、クロウ君はユミルへ行くことが出来たという、そういう。そういう世界軸だったという。
ユミルへ送った理由も、「探し出して引き取ったクロウが予想以上にスレていたので自慢の息子に癒してもらおう」という密かなオズボーン氏の思惑があったという。そういう、ギャグテイストな始まりの裏設定が、あったという。そんな感じです。最初はこういう、全編ほのぼのギャグ話にするつもりだったんですが、自分で別な方向にお話を持って行ってしまいましたので、裏設定に封じ込めました。すみません。
なのでせんのひかりのオズボーン氏は、やってる事は本編同様えげつないけど、心は実は子供好きだよって、そんな感じで、お願いします。



◎せんのひかりのその後のお話は、

元々ここまでしっかり書こうって思っていただけなので、うすぼんやりとしか考えていないのですが、

この後クロウはしばらくユミルで暮らし、16歳ぐらいの頃にヴィータさんとの約束通り騎士になるために再会の約束をして少しだけリィンから離れて、何となくオルディーネの起動者になるんじゃないかなという何となくな構想しかありません。この調子だと帝国解放戦線も多分作らない。カイエン公には近づけさせねえ。
その後トールズに入ってめでたくリィンと再会、何となくリィンもヴァリマールの起動者になって何となくひと騒動があってオルヴァリが決闘する事になったりして勝ち負け置いといてヴィータさんも満足。何となく騒動も丸く収まってクロリン無事二人そろってハッピーエンド、になったりしたらいいなあ、レベルの妄想だけが存在します。

それよりも私はユミルで一緒に暮らしていた事により幼馴染状態になっていてトールズで再会した最初から淡い両片想いとなっているクロリンのただのもだもだ学園生活の方が書きたいし読みたいので、誰かそんな幼馴染両片想いクロリン話「閃の光」をお願いいたします。




アホな事ばっかり言っててすみませんでした。

この下に完全な本編のおまけ話あります。上記の子供大好きオズボーン氏が下敷きとなった完全ギャグ話になっておりますので、それでもええよって方がいらっしゃいましたら。








せんのひかり 後日談





「……クロウは本当にずるいなあ。おれが訓練してる所、ずっと見てたなら声ぐらい掛けてくれたってよかったのに」
「仕方ねえだろー色々隠してたんだから。あんな珍しい武器をお前、隠し事してる状態で普通見せらんねえだろ」
「ダブルセイバー、だっけ、双刃の武器なんて確かに初めて見たよ。……でもあの武器、まだクロウには大きすぎるんじゃ」
「だからこうして毎日鍛えてんの!そろそろ振り回せるようになって来てるし!あーくそ、あの女こんな扱いづらい武器寄越しやがって……まあ使いこなすのに時間が掛かるからこそ、さっさと命狙って復讐しにいかなかった面もあるけどよ……」
「うーん、そのヴィータさんって人、そこまで考えてクロウにその武器渡してきたのかな、そうだったらすごいな……ん?」

運命の日から数日経ったある朝の事。リィンの念のための自室謹慎も無事に解け、何のしがらみもなくなった二人で仲良く朝の稽古を済ませた帰り道だった。ケーブルカー乗り場から何者かが降り立ったのを見つけて、屋敷へ向けていた足を思わず止めていた。雪深いこの時期には珍しい湯治客だろうか。それにしては早すぎる時間のような。
厳重なお供も連れず、静かにこの地を訪れたその人物が意外過ぎて、クロウは反応するのが遅れた。多分復讐心なんかを根こそぎリィンに奪われてしまった事も一因しているのだと思った。きっと今までのクロウだったら、この滲み出る気配を肌で感じ取った瞬間気付けていたはずだ。
ギリアス・オズボーンその人が、クロウとリィン二人の目の前に立っていた。

「この郷の子供か」

低い声が、思わず呆然と立ち尽くしていた耳に届いて、クロウははっと我に返った。そうして慌ててリィンを見る。薄紫の瞳はきょとんと、いきなり現れた見知らぬ男を見上げていた。

「え、っと、お客様ですか?」
「リィン、こっち来い!」
「クロウ?」

慌ててその腕をつかみ、自分の後ろへ引っ張り込む。身長差はあれど所詮子供同士、全てを隠しきる事は出来ないがそれでもリィンを背後に庇い、クロウはオズボーンを睨み上げた。その視線に、先日とは違う何かを感じたのだろう。オズボーンの眉がわずかに動いた。

「……ふ。どうやら随分と絆されたとみえる」
「うるせえよ」

以前だったら激昂して飛び掛かっていたかもしれない癪に障る笑みを、今のクロウなら静かにかわす事が出来る。それでもムカムカとした腹立たしい気持ちは湧き上がってきた。しかしそれは復讐のための憎しみというより、純粋な怒りのようなもので。
こいつどの面下げて自分が捨てた息子の元にやって来てんだとか、人目を憚るように早朝にひょっこりやって来るんじゃねえよとか、リィンに余計な事言って心乱すんじゃねえぞさっさと帰れとか、さり気に何も知らない客のふりして話しかけてんじゃねえよマジ帰れとか、それはリィン方面への怒りが主であった。
朝日を雪が反射しキラキラと美しい澄んだユミルの広場のごく一部で、ごうごうと吹雪が吹き荒れる。クロウとオズボーンがピリピリしながら睨み合う中、クロウの袖を控えめに引っ張る腕があった。訳が分からないまま背中に庇われていたリィンだった。

「クロウ。もしかしてこの人は……悪い人なのか?」
「へっ?」

どうやら場の空気を敏感に感じ取ったらしく、クロウが全身で警戒しているオズボーンに不信感が現れたらしい。何と返答するのがベストか考えあぐねたクロウは、次の瞬間ぴんと閃いていた。
己の口元に、たちの悪い笑みが浮かぶのが分かった。

「そう!こいつめちゃくちゃ悪い奴!各地で子供をさらってはどこかに売り飛ばしてるって噂が流れる怪しい事この上ない男なんだよ」
「むっ」
「ええっ?!そ、そうなのか……?!」
「そうそう。ほら見ろよあの悪そうな顔。リィン、あいつに近づくんじゃねえぞ、取って食われちまうかもしれねえぞ」

わざと相手にも聞こえるように耳打ちしてやれば、リィンは驚いた後ゆっくりとオズボーンを見る。その目はどう見ても、不審者を見るようなじっとりとした視線。クロウの話を素直に飲み込んで、全身でオズボーンを警戒していた。
何か言葉を発しようとオズボーンが静かに身動きをすれば、びくりと反応してクロウの背中に隠れたリィンがぼそりと一言。

「近づかないでください」
「……!」

その時クロウの目には、無表情にショックを受けるオズボーンの心境が見えた気がした。多分、合ってる。今ちょっとだけよろめいたし。
誰にも見えないように肩を震わせて笑ったクロウは、そのままなおもオズボーンを睨み続けていたリィンの手を取って歩き出した。

「さーて、不審者に構ってないでさっさと帰るぞリィン。あんまり遅いとテオさんとルシアさんとあとエリゼ嬢ちゃんも心配するぞ」
「あ、うん」

クロウに声を掛けられればあっさりと目を逸らし、素直に従うリィン。クロウに全信頼を寄せている証である。不審者呼ばわりされて立ち尽くす男に、クロウは一度だけ振り返って、これ見よがしに舌を出してみせた。すぐに顔を戻してしまったので定かではないが、背中に突き刺さる威圧感が憎々しげに増した気がする。
足を速めて隣に並んだリィンが首をかしげる。

「クロウ?何だか随分と楽しそうだな」
「そうか?ま、意図してた訳じゃねえけど、ついでにこの恨みを少しでも晴らせるのなら万々歳だなーと思ってな!」
「?んん??」


クロウ・アームブラスト。思わぬところでギリアス・オズボーンに対しての地味な復讐方法を見出したのだった。


完!



15/01/19



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