1、問答無用でガイ
2、アニスを、と思わせてガイ
3、逃げる素振りを見せて油断させつつガイ
4、ガイしかいない



「って全部俺じゃないかぐはーっ!」


憐れなトナカイはアッシュの非情の蹴りを食らって雪へと埋もれてしまった。後ろの方でルークだけが雪の中に消えたガイのために合掌して拝んでいる。アッシュはすでにガイなんて眼中に無く、不適に笑うアニスへと向き直っていた。


「ふっふーん、アニスちゃんが相手だよー!魔法も使えない魔法使いなんて敵じゃないもんね!」
「アッシュは魔法を使えないんじゃない、何故か使ってくれないだけなんだぞ!」
「別に訂正せんでもいい屑がっ!」


アッシュを馬鹿にしたような言葉が許せなかったのか前へと飛び出したルークを慌ててアッシュは両手で押さえた。せっかく魔法の事はどっかに置いて忘れようとしていたというのに。
そう、アッシュは魔法使いであるが、その手に魔法の杖は持っていない。ローレライの杖とやらがアッシュの正式な武器らしいのだが、それは呪文を唱えなければアッシュの元へとやってこない面倒くさい仕様となっている。その呪文をアッシュは唱えようとしないのだ。


「別に、コスチュームが変わって杖が現れるだけなのにどうして躊躇うんだよアッシュ」
「それだそれ!何度も言うがコスチュームが変わる必要性はまったく無いだろうが!」


困った奴だと言いたげに腰に腕を当ててため息をつくルークのおでこにつんつん親指を突き立ててやれば、空中でバランスを崩して両手をワタワタと振り回す。ちょっと和んだ。
と、和んでいる場合ではない。アニスはどこから取り出したのかやっぱりサンタの衣装に身を包んでいるトクナガを巨大化させ、すっかり準備満タンのようだ。アッシュの頬を雪の中だというのに汗が伝う。
この状況はさすがにやばい。どうしたものか。



1、絶対に呪文は唱えたくない。

2、妥協して呪文を唱える。