1、絶対に呪文は唱えたくない。



「なあアッシュ、諦めて呪文唱えようって。じゃないと負けちゃうぞ」
「うるせえ!誰が唱えるか!」


頑なに呪文を唱えようとはしないアッシュに、ルークは必死に縋りついた。


「アッシュ頼むよ!世界の子ども達の希望はアッシュにかかってるんだぞ!魔法無しじゃ、絶対きついって!」
「嫌だと言ってるだろう!」
「アッシュー!俺の一生のお願い!呪文を唱えてくれよ!」


ルークはアッシュの顔面に躍り出て、必死に拝んでみせた。ルークの一生のお願いほど信用できるものはないが、その必死そうな表情はなかなか、こう、良いものだ。それに状況が厳しい事に変わりは無い。あの巨大ぬいぐるみ相手に剣なし杖なしの素手で戦うのは辛いだろう。アッシュの人生最大とも言える選択が、目の前に立ちはだかっていた。



1、それでも絶対に呪文は唱えない。

2、妥協して呪文を唱える。