1、剣はないけど、根性の秘奥義で破壊!
「うおおおお!砕け散れ、紅牙鳴衝斬っ!」
普通の紅牙鳴衝斬では剣を地面に突き立てるのだが今は剣がないので、アッシュはそのまま拳を振り上げて降ってくる木の棒へと叩きつけた。紅牙名衝斬と叫ぶだけのただのパンチとも見えるが、木の棒は見事粉々に砕け散っていった。オロオロ慌てていたルークがひょいと飛び上がってアッシュの頭に飛びついてくる。
「アッシュすげーっ!全然魔法使いっぽくないけどすげーっ!」
「はっ、俺の力を見くびるんじゃねえ!」
「これは驚きましたね。おかげで片腕を失ってしまったじゃないですか」
残るもう一方の腕をぐるぐる振り回しながらユキダルマンが全然驚いてない声で言う。再び残った木の棒が降ってくるかと身構えたが、ユキダルマンにその気はないようだった。
「仕方がありません、いきなさい、手下その1とその2!」
「はあーい♪サンタのクリスマスプレゼント巻き上げてその辺のガキどもに高く売りつけてやるんだから!」
「今回も俺はこんな役割か……とほほ」
ユキダルマンの号令と共に飛び出して来たのはおなじみの手下たちであった。サンタに成りすまそうというのか、赤と白の衣装を着たアニスに、無理矢理着せられたのだろうゲッソリとした顔でトナカイの着ぐるみに包まれたガイだ。
「ちっ、一度に2人じゃ分が悪いな……どちらかを先に潰しておくか」
油断なく身構えながらアッシュはアニスとガイを交互に見比べる。狙うのは……。
1、問答無用でガイ
2、アニスを、と思わせてガイ
3、逃げる素振りを見せて油断させつつガイ
4、ガイしかいない