2、ノエルスペシャル号を選ぶ。
「そうだな、せっかくだからこれを選ばせて貰おう」
「ま、マジで?」
モップを手に取ったアッシュにルークが驚いた視線を送ったが、アッシュは目を逸らす事でやり過ごした。ルークの言いたいことはものすごくよく分かるのだ。しかし、目の前に期待で満ち満ちた瞳を輝かせた人間が立っていれば、この上なく断りづらいものではないか。
「そうですか!私もこっちが良いと思ってました!どうぞどうぞっ!」
ノエルはパッと笑顔になった。よほど嬉しいらしい。その笑顔に誤魔化されながらアッシュはモップを手に外へと出る。空は快晴、風も穏やか、絶好の飛行日和だ。滅多な事が無い限り落ちることは無いだろう。そう、滅多な事が無い限り。
「お2人とも、どうぞ地平線の彼方まですーいすい飛んじゃってくださいね!」
「い、いや、そこまではいい」
見送りに出てきたノエルの言葉にさらに不安が増しながらもアッシュはモップに跨った。覚悟を決めた様子でアッシュの肩によじ登ったルークが、いつものように号令をかける。ただちょっと声が震えていた。
「よ、よーしっ!ノエルスペシャル号、発進!」
ビュンッ!
モップはアッシュとルークを乗せてものすごい勢いで飛び上がった。そしてそのまま、大きく手を振るノエルが見守る中どんどんどんどん小さくなっていって……。
キラーン。
お星様になってしまいましたとさ。
GAME OVER