もしもギリアス・オズボーンがめっちゃ良い人のまま男手一つでリィン君を育てたら



ギリアス・オズボーンは昔から多忙を極める男だった。巨大なエレボニア帝国の宰相を担っているのだから当然の事だ。帝都から飛んで各地に視察や会議へ赴きそのまま何日も帰れない事はしょっちゅうあったし、徹夜で仕事を片付けるのだって珍しい事ではない。それでもギリアスは、少しでも時間が取れさえすればなるべく我が家に帰るようにしていた。最愛の妻を亡くしてから十数年、たった一人の家族である息子が家で父の帰りを待っていてくれるからだ。

「今帰った」

この日も帰りは遅くなった。夕飯時などとっくに過ぎた深夜に差し掛かりそうな時間帯、ギリアスは玄関のベルを鳴らし、鍵を開けて明かりの灯る家の中へと足を踏み入れる。今日は早く帰る事が出来るかもしれない、と朝声を掛けて出ていたので、まだ起きているだろうとは予想していた。そうでなくても彼の義理堅い一人息子は、父親が帰って来れる日はなるべく起きて待っていてくれるような少年だった。本日も例に漏れず、帰ってきた人の気配に気付いてぱたぱたと出迎えに駆けてきてくれた。
部屋からひょっこりと顔を出し、遅く帰ってきた父親を労うように笑顔で近寄ってきたのは、間違いなくギリアスの愛する息子、リィンであった。

「父さんお帰り!ご飯、食べてきた?」
「いいや、まだだ。適当なものがあれば準備を頼んでもいいか」
「大丈夫、温めるだけの状態で準備してもらっていたから」

鞄を率先して受け取り、嫌な顔一つせずに世話をしてくれようとするリィン。働き者で大変父親思いの子供だった。妻を失った際この世にただ一つだけ残された、ギリアスの希望のような子だ。どれだけ仕事が忙しかろうと、この笑顔を見るだけで疲れなど吹っ飛んでいくし、だからこそなるべく我が家へと帰るようにしているのである。
日中は使用人を雇っているが、夜はリィン一人だ。ギリアスとて自分の世話ぐらい出来るのだから帰りが遅い時は先に休んでいなさい、といくら言い聞かせてもリィンは起きて出迎えようとしてくれる。最近は諦めて素直にリィンの施しを受けている状態だった。昔は起きていようとしてもソファの上ですやすや寝落ちている事が多かったが、今ではそういう事もめったにない。息子の成長を感じる一幕に、密かにギリアスが感動を覚えている事は本人には秘密だ。

「……と、その前に」

先導するように前を歩きかけたリィンが、唐突に振り返ってくる。その顔を見てギリアスはギクリとした。さっきまで天使のような笑顔を浮かべていた顔は、じっとりと批難するように睨み付けるような厳しい表情に変わっていたのだ。大変心当たりのありすぎる顔だった。

「……どうした」
「どうした、じゃないだろ。父さん、日中ちゃんと休んでるのか?最近はただでさえ忙しそうなのに、ちゃんと休息を取らなきゃ体が持たないだろって何度も言ってるのに!」

ぷんすか怒り出すリィンに、鉄仮面を誇る顔面はそのままにギリアスは内心うろたえた。何故最近休息を取る時間も削っている事がバレたのだろう。そんなに顔に出ていただろうか。何を考えているのか分からないとよく評されるギリアスの表情も、生まれた頃から見知っているリィンにとっては曰く「父さん、意外と考えてる事が顔に出やすいよな」との事。今もしっかりとギリアスの疑問を読み取られて、溜息と共に答えてくれた。

「クレアさんがわざわざ教えてくれたんだよ、私たちが何を言っても閣下はお聞きにならないからリィンさんから言い聞かせて下さい、って」
「む……」
「父さんの事いつも心配してくれてて、ほんと良い人だよなクレアさん。横にいたレクターさんは、あのおっさんがこんな事でくたばる訳ねえだろーとか飄々と言ってたけど……あんまり部下を心配させちゃ駄目だろ。俺だって、心配してるんだから」

怒った顔で叱りつけてくるリィンは、しかしその瞳が不安そうに揺らいでいた。言葉通り、心から心配している気持ちがひしひしと伝わってくる。ギリアスは息子のこの表情に弱かった。昔から気苦労させてきてしまったせいか、文句や不満を自らの中に押し込めて言葉に出さないようになってしまったリィンの瞳は、口の代わりに雄弁に内情を語ってくれる。そんないじらしいリィンの薄紫の瞳に見つめられてしまえば、反論する気も萎んでしまうのだった。

「……そうだな、気を付けよう」
「本当だな?約束、だからな」
「ああ、約束だ」
「よし」

ようやく笑顔を取り戻して頷いてくれたリィンは、踵を返して先を行く。でも父さんって約束すぐ破るからなーとかチクチク小言を言う背中を多少縮こまって追いながら、ギリアスはため息と共に心の中でこっそりと呟くのだった。
ああ、最近息子が怒った時、どうしても逆らえなかったあの時の妻にものすごく似てきた、と。






「―――それで、この間の日曜学校は夕方まで時間が延びたんだ」
「フッ、それは難儀であったな」

遅い夕食を取りながら、向かいに座るリィンの近況や勉強した事など取りとめもない話を聞く時間。それはギリアスの心がこの上なく安らぐ時間であった。普段は、特に日中はろくに一緒にいてやれない分、離れている間リィンがどんな経験をしているかこうして話を聞いて把握しておくことが、父親として必要最低限の義務だと思っている。何より、リィンと共にこうして過ごす時間が何よりもかけがえのない時だと思うのだ。
この間あった出来事とやらをあらかた話し終えたリィンは、思い出したかのようにそうだ、と声を上げた。

「ユミルから手紙が来ていたんだ。今年も予定通りにおいでって書いてくれてた」
「そうか、後で目を通してテオに返事を書かねばな」

一際嬉しそうに教えてくれたのは、ギリアスの友人からの手紙の事だった。テオ・シュバルツァーは雪郷ユミルを治める男爵で、ギリアスとは旧知の仲だ。ギリアスがどうしても帝都を長く離れなければならない用事がある場合や、仕事が忙しくなりろくに家にも帰れない時期などには、昔からリィンを一時的に預かってくれている。ギリアスも宰相になりたてで忙しく、リィンもまだ幼かった頃には年単位で預かってもらった事もあった、とても世話になっている旧友なのである。今年はちょうど夏の時期に一ヶ月ほど、またリィンを預かってもらう予定だ。リィン自身もユミルの土地を気に入っていて、毎回ユミルへ行くのを楽しみにしているのだった。

「テオには毎年世話を掛けている。旧知の仲とはいえ一度ぐらいは、私も直々に出向いてお前の事を頼まなければいかんな」
「……え、父さんもユミルに?」
「せいぜい滞在は一日程度になるだろうが……お前と共に列車でユミルへ向かうのも悪くない」

そのためにはただでさえキツキツのスケジュールをクレアが卒倒しそうなレベルで日程を絞らなければならないだろうが、その程度の障害、息子と過ごす温泉郷ユミルでの一日を獲得するためならば些細なものだ。さっそく密かに頭をフル回転させ始めたギリアスの目の前で、目を丸くしていたリィンがじわじわと表情を変えていた。嬉しくて嬉しくてたまらないといった満面の笑みだった。

「そうか、父さんと一緒に、か……それは、とても楽しみだな……!」

頬を染めてもじもじと両手で持っていたマグカップをいじるリィンの姿に、よし皇帝や知事が何を言ってきても、どれだけレクターの妨害にあおうとも絶対にユミル行くぞ、とギリアスは固く心に誓った。見ていろ、伊達に何年も一国の宰相をやってはいないのである。

「明日さっそく日程を調整して来よう。テオにはその後で返事を書く」
「分かった、俺もそれまでにエリゼへの手紙を書いておくよ。ふふ……父さんが一緒に来るなんて、きっとテオ父さんも喜ぶな」

にこにこと、どうやって返事を書こうか考えるリィンが我が息子ながら可愛い。しかし、今ちょっと聞き捨てならない単語が聞こえてギリアスは思わずスープを掬い上げる手を止めていた。

「………、テオ、父さん……?」
「え?あ……!あ、あの、これはその、テオさんとルシアさんが、俺はもう息子同然の存在なんだから父さん母さんって呼んでいいんだよって、言ってくれて、それで……!」

あたふたと、顔を真っ赤にして弁解するリィン。しかしその顔には嬉しい気持ちが満ちている。テオは友人のギリアスから見ても良い男良い父であり、彼の妻であるルシアもとても優しく芯の通った女性である事は知っている。おまけに二人の娘であるエリゼもリィンにとても懐いている可愛らしい少女で、だからこそリィンもシュバルツァー家の事をもう一つの家族として慕っていた。それは知っていた。ああ知っていた。そうやって知っていて、信頼しているからこそ愛息を毎回預けているのだ。でも目の前でこう、自分以外の男を父さんって言われると、何だか息子が取られてしまったような気がしてしまうのは実の父として仕方の無い事ではないだろうか。
そういえばリィンがユミルへと行っている間、テオはしょっちゅうリィンの写真を撮って送って来てくれるが、あれも有難い反面なんかリィン自慢をされているようでちょっと悔しかったりするのである。こっちだってリィンと一緒に雪遊びとかしてみたいのに。あの男は溺愛する娘がいるにも関わらずリィンまで息子として手に入れようとしているのでは……

「……父さん?どうしたの、そんな険しい顔をして」
「ん?ああ……いや、何でもないんだ」

リィンに怪訝そうな顔を向けられて、鬱々とした方向へ考えかけていたギリアスはハッと我に返った。おそらく、リィンと一緒に思うように過ごせないストレスが溜まっているのだろう。どうも悪い方へ悪い方へと考えてしまう。リィンは間違いなく実の息子なのだから取られるなどと焦る事は無いのだ、馬鹿馬鹿しい。
ギリアスが心を落ち着けたのを見て、リィンはそわそわと視線を彷徨わせた。ちょうど話も途切れたきりの良いタイミング、リィンの様子に気づいたギリアスが、いかつい顔を若干和らげて声を掛ける。

「リィン」
「は、はいっ」
「私に何か言いたい事があるのだろう、この父に何でも話してみるが良い」

促され、さらに僅かに躊躇っていたリィンはやがてキッと顔を上げ、椅子の上に座り直してギリアスを真正面から見つめてきた。息子のその真っ直ぐな眼差しに、相当覚悟した言葉を伝えようとしているのだと悟る。ギリアスも姿勢を但し、リィンからの言葉を待った。

「……父さん、この間、将来はどこの学校に通いたいか、話をしたよな」
「ああ」
「あの時は考えておくって答えたけど……実は、行きたい所があるんだ」

確かにそんな話をした。リィンももうすぐで学校へ入学しても良い歳。どこか希望があればと、帝国内の目ぼしい学校のパンフレットを複数渡して問うてみたのだった。あの時は迷っているそぶりであったが、今のリィンには明確な意思があるようだ。

「俺……トールズ士官学院へ行きたい」

膝の上で両手を握りしめ、覚悟を込めてリィンが絞り出したその名前は、少なからずギリアスを驚かせた。とても、懐かしい名前だった。確かに用意した資料の中にその学院のものも入ってはいたが。

「その、父さんにパンフレットも貰ったし、俺なりに調べても見たんだ。まだ将来の夢がしっかりと決まってなくて、軍人になりたいという訳でもないんだけど」
「軍人にはなりたくない……それでも、士官学院へ入学したいと言うか」
「うん、トールズの卒業生は皆が皆軍人になる訳じゃないみたいだし、ドライケルス皇帝が設立した由緒ある学院だし、それに……」

そこでリィンは、笑顔を見せた。どこか誇らしく微笑むその視線は、ひたすら目の前の父親へと注がれている。

「父さんの、出身校だろ?」
「!」
「俺は父さんみたいに頭が良い訳じゃないし、政治家にはあまり向いていないとは思うんだけど……父さんみたいな立派な大人になりたい。自分を犠牲にしてまで国のために、国民皆のために働く父さんみたいな人に少しでも近づきたくて……それで、父さんが卒業したトールズ士官学院に興味を持ったんだ。試験は難しいかもしれないけど、これからたくさん勉強して頑張るから……なあ、父さん」

一生懸命に、必死に言い募るリィンを見て、ギリアスは一口だけ茶を飲んだ。リィンはユミルに行っている間東方の文化に触れる機会があるらしく、たまに紅茶とはまた違う絶妙な苦みのある茶を入れてくれることがある。これを飲むといつも心が落ち着くのだ。そうやって静かな時間を作った後、緊張した面持ちで固まるリィンへ、ギリアスは厳かに口を開いた。

「……リィン、お前は私では無い。リィン・オズボーンという一人の人間だ。私のように、では無く、お前自身の高みを目指す事を考えるのだ」
「あ……」
「フッ、そのための場所としても、確かにトールズは良いかもしれぬな。何せ私の通った学院だ、貴族と平民の立場をよりよく学べる環境にもあるし、信頼できる教官もいる」
「!そ、それじゃあ」

期待を込めて見つめる薄紫の瞳に、ギリアスは頷いてやった。

「せいぜい落ちる事の無いように、しっかりと勉強する事だな」
「う、うん、頑張るよ、ありがとう父さん!ああ、よかったあ……!」

ほっとしたのか、全身の力を抜いて椅子の背もたれにもたれかかるリィンにギリアスは笑みをこぼした。軽く諌めたが、なかなか心にくる事を言ってくれるではないか。お父さんのようになりたいと言われて喜ばない父がいるだろうか。ギリアスは喜ぶリィンを眺めながらまたもう一口お茶を飲んだ。
……そこで、またいらない考えが飛来してくる。今度のはほぼ直感だった。リィンに不自然な点は無かったがあえて言うなら少し必死過ぎた気もする。その理由を少しだけ考えて、とある顔が思い浮かんだのである。即ち、トールズ士官学院に通いたい理由が、あともう一つあるのではないかと。

「……リィン」
「ん、なに?」
「まさかとは思うが……トールズの名を知り、そこへ通いたいと思い始めたのは……よもや、アームブラストの小僧が入学するつもりだから、という理由ではあるまいな?」

ピシッ。リィンの動きが確かにその時、ギリアスの口から発せられた名前に反応して一瞬動きを止めた。悲しい事に大変わかりやすい反応だった。
ジュライ市国という小国がある。帝国の隣人にあたる海洋都市で、そこの市長を務める初老の男がアームブラストといった。これがまた食わせもののじいさんで、決して悪い関係とは言わないが良い関係とも言えない。年の功か元々の性格故か大変口の回る彼に手品よろしく言いくるめられたことも少なくない。こいつ無理矢理併合してやろうかなどと物騒な考えを起こしたことも一度や二度では無いのだった。問題は、そのアームブラスト市長の孫だった。
リィンがまだ目を離せない幼い頃、ジュライ市国へと連れて行ったことがあるのだが、どうやらそこでアームブラスト市長の孫とリィンが知り合い、仲良くなってしまったらしい。それからは事あるごとにあのお調子者っぽい孫はリィンに絡んできて、リィンを連れまわしては変な事を教えたり危ない遊びに巻き込んだりとやりたい放題だ。しかもリィンもまんざらではなさそうで、それどころか大変慕ってやまないようなのだ。何であんな自由奔放な子供にリィンが懐いてしまったのだろうとギリアスは頭を抱えている最中なのである。出来ればジュライ市国とはそこそこ遠方であるし縁が切れないかと密かに願っているが、リィンがユミルに滞在中に遊びに来たり、帝都に訪れたらかかさず会いに来たりと相手もマメな接触を図っているようでなかなか難しい。手紙のやり取りも未だ定期的に続いているようだし。
この間周辺諸国が集まる会議に出席した際、アームブラスト市長の孫自慢を否応なしに聞かされた際耳にしたのがトールズ士官学院だ。来年あたりに孫が入学になるだろうと嬉々として語っていたしわくちゃの顔を思い出したのだ。
じっとギリアスに見つめられて、リィンは視線を逸らして小声で答えた。

「……そんな事、無いよ」
「嘘をつけ、嘘を!」

ギリアスは思わずガッタンと席を立ちかけた。おそらく先ほど語った話も確かに理由の一つに含まれるのだろうが、一番最初にトールズ行きを決めた理由はきっと手紙なんかでやり取りして知ったと思われるその、アームブラストの孫のせいに違いない!

「何度も言っているだろう!あのような軽薄な男と付き合うんじゃないと!お前に悪影響しか及ぼさない人種だ、ああいうのは!」
「く、クロウはそういう奴じゃないって言ってるだろ!そりゃ確かに素行が悪い所もあるけど、頼れるところもあるかっこいい奴なんだからな!」

思わず大声を上げれば、かっとなったリィンも言い返してくる。ああ、あの大人しく素直だったリィンが反抗的な顔をしている。成長を感じてちょっと嬉しいような悲しいような、大変複雑な心境だった。

「リィン、トールズに行くことを全面的に反対はしないが、あの男が理由というならば私はそう簡単に許可を出せんぞ。せめてあの男が卒業してからでも入学を、」
「っ何でそう言う事言うんだよ、父さんの分からず屋!いいよ、俺父さんが何と言おうとトールズに行ってクロウと一緒に勉強するんだ!」
「やはりそれが目的ではないか!こら、待てリィン!」

ぱっと立ち上がったリィンは、ギリアスの制止も聞かずにどすどすと足音を荒げて部屋から出ていってしまった。自室にこもって今夜はふて寝をするつもりなのだろう。一人取り残されたギリアスは、伸ばしかけた手を落としてのろのろと椅子に座り直した。
食べ終わった食器たちを眺めながら、冷めたお茶を飲み干してぽつりとつぶやく。

「……これが、反抗期か……」

ああつまり、リィンは一人の男として大人への階段を昇っている途中で、一人前の人間へと成長し巣立つ準備をしているのだ。親としてこれほど喜ばしいことはない。母の腕に抱かれて頼りなさげに泣き、花のように笑っていた赤ん坊が、おとうさんと舌足らずな幼い声で小さな手を伸ばして追い縋っていたあの幼かった子供が、自らの進むべき道を一人で選び反対する親の言葉に反抗出来るようになるまで育ってくれたのである。今のリィンの姿は、喜び以外の何者でもない。
分かってる。
よく、分かってる。
それでも、悪い男に誑かされてる息子を案じて言ってるのに分からず屋なんて言われちゃってへこんじゃう事も、君のお父さんとして許してほしい。

「おのれ……クロウ・アームブラスト……!」






「さて、今年もリィンの奴ユミルに行くっつってたから、その頃に休暇でユミルに行けるよう祖父さんに進言しとかねえと……へっくし!……何だ、誰か俺の事イケメンとか何とか噂でもしてんのか?」

一人の父親に理不尽な恨みを買われている事を、遠い海辺の町でくしゃみをしている銀髪の少年はまだ、知る由もない。








15/10/22


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